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■ 講演を聞く   11.7.9

私が東京下町の高校出身であることは何度も記事に書いています。
今日は、その高校の「創立110周年記念式典」がありました。その中で、卒業生の京都大学霊長類研究所長・教授の松沢哲郎博士の記念講演があると知って、聴講申し込みをして出席してきました。

高校時代、図書室にあった「日本動物記」シリーズで京大・伊谷純一郎先生の「幸島のさる」を読んで以来、50年、日本の猿学の発展を追いかけてきました。
その学塔の大きな一角を占めている松沢教授の講演を聞きたいものと、大きな期待をもってでかけてきました。

その期待に違わず、現役の高校生にもわかりやすく研究の最前線の成果を聞かせてくれました。


松沢教授   11.7.9   FinePix F200EXR ISO400 1/9,F5.1
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演題は「想像するちから」
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        先生のとられた研究手法が「生息地での野外実験」と「実験室での参与観察」。
        前者はアフリカ・ギニアのボッソウ村での野生グループ対象。
        後者は、研究所で飼育されているグループ。
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        従来の学説「森林からサバンナに進出した人類の祖先は直立歩行を開始。
        自由になった手で、道具使用を始め、それが大脳の発達を促した」を明確に否定。
        「樹上生活で4本の手を獲得。サバンナで歩行することで、後ろ『足』を獲得した」と説明があった。

        その上で、「ひと」と「チンパンジー」との違いを画面の4点に絞られた。

        1.母親にしがみつくサルは「仰向け」になれない。
          「ひと」の赤ん坊は「仰向け」になれるので、母親にしがみつかないで「泣き声」でのコミュニケーションをとる。
        2・「チンパンジー」は乳離れする4歳まで母親が育てる。
          兄弟は5歳違いになり、母親は一生妊娠出産し続ける。
          ひとの赤ん坊は母親だけでなく、父・祖父母。叔父叔母などが世話する。
          強制離乳して1年後にも続けて出産して若いうちに祖母になれる。 
        3.「チンパンジー」にも「文化」があるが、その伝播は「見て覚える」
          「ひと」は、うまく出来ると「認める、褒める」教育。
        4.「言語」概念は「ひと」特有のものに発展してきた。

        これらの成果は、各種の実験と観察で取得されたものだが、その現場をビデオで紹介された。

 
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        これらの研究成果を得られた実験のシーンもビデオで紹介された。

        詳しくは 「 チンパンジー アイ 」 をご覧ください。
by higirinikki | 2011-07-09 23:07 | おでかけ
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